12人の優しい日本人【2020年9月7日放送】 |
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2020年 09月 13日
【タイトル】12人の優しい日本人
【放送日】2020年9月7日 【製作国】日本 【製作年】1991 陪審員制度がある架空の日本で、12人の日本人が繰り広げる二転三転の審議を描く。 ※今回は公式の予告編が見つからず、やむを得ず三谷幸喜のトークの動画を代わりに。 さすがは三谷幸喜という出来で、彼がまだいまほど知名度を得る前の作品だと思うが、それでもさすがの完成度。既に三谷作品の特徴的な構造は垣間見える。自分が高校生の頃の作品だが、当時から評価は高かったと思う。自分は今回初めて観賞。非常に面白い作品だった。 あまり欠点は見つけられない作品だと思うが、それでもやはりいくつかはある。これは自分の好みもあるのだが、人間関係の毒気が強すぎて導入部の敷居が自分にはやや高かった。いたたまれなくなってしまうのだ。特に大河内浩演じる陪審員6号と加藤善博演じる陪審員12号の存在感が素晴らしく、塩見三省演じる陪審員1号の冒頭の仕切りがややもすると妨害されてしまうあたりはなんとも言えない居心地の悪さ。大河内と加藤はパッと見正反対のキャラクターに見えるが、あの手この手で1号の仕切りから外れようとする点では序盤は共通点も多い。今回は無理せず、一時停止したりしながらゆっくりと観賞していった。この序盤の居心地の悪さが、後半の議論の加速感に一役買っている。この構造はなかなかに見事だった。 12人それぞれのキャラクターをどう描くかはこの作品の大きな課題の一つだが、このあたりの描写の旨さはこの作品の優れた点の一つで、冒頭の飲み物の注文シーンで既に各人のキャラが立っているのがいい。そして12人それぞれの重要度にそこまでの差がないのがいい。確かに議論の続行を提案する相島一之演じる陪審員2号は目立っているのだが、他の11人もそれぞれの役割を担い、存在感を発揮する。各人の有罪無罪の判断の多くが入れ替わり(最後まで判断を変えなかったのは二瓶鮫一演じる陪審員4号と梶原善演じる陪審員7号の2名のみ)、それぞれの立ち位置が変わっていくことも相まって特に後半部の勢いが素晴らしい。村松克己演じる陪審員9号の最初の有罪への転換から徐々に有罪が増えていき、7号が離脱して有罪で決まるかと思いきやの4号の抵抗、そして4号と林美智子演じる陪審員10号という最も主義主張のない2人とその援護に回った豊川悦司演じる陪審員11号。まさかの展開で原典となった「12人の怒れる男」にはなかった2度目の転換を入れたのがうまかった。徐々に論理性を失って初期の明快さを失っていく村松が秀逸。無罪派の主張をことごとく論破し、12人の中で最も論理的と思われた9号が感情を顕にし、自称弁護士の11号の反論に有効な返しができなくなっていく。ほぼ自発的意見のなかった4号と10号がそれぞれ有罪判決の根拠を揺さぶる指摘を繰り出し、物語が鮮やかに収束に向かう。上田耕一演じる陪審員3号の指摘で更に有罪の根拠がゆらぎ、最後はまさかの12号による謎解き。議論上はほぼ有効な役割を果たさなかった6号と山下容莉枝演じる陪審員8号も存分にその持ち味を発揮した。判決を議論するということで事実関係がとても重要となるが、中村まり子演じるメモ魔の陪審員5号がここを補って、全員の立ち位置が見事に噛み合っての判決。後半のスピード感は出色で、9号が最初に有罪に転じてからは一度も止めることなく最後まで観た。全てが終わった後の各人が帰っていく光景に見えるある種の開放感が観客にも伝わって素晴らしい後味だった。 居間で一緒に観るとはなく観ていた母が最後まで有罪を主張する2号を見て「なんでこの人はこんなに有罪にこだわるの?」と聞いた。「最初は無罪と言っていたんだけど、皆でしっかり議論すべきと有罪に転じて、そのまま議論が昂じて言い争いのようになってしまったんだよ」と説明したが、そのすぐ後に自分の説明が覆されて謝罪するはめになった。7号が自分が独り身であることを嘆くシーンでの2号と7号の会話で伏線は張られていたのだ。2号による有罪の票の捏造、4号によるジンジャーエールの指摘、様々な伏線が見事に回収されての終幕。いやもうお見事。見事にしてやられて終わった。無理に映画にすることなく、舞台劇のテンポをそのまま活かしたのもうまく、最後まで楽しんで観賞できた一本。自分が高校生の頃に、こんな作品が作られていたんだなあ。
by goodbyegirl1974
| 2020-09-13 02:05
| プレミアムシネマ
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